松葉杖ディスるじーさんの夏
お盆明けの診察の時の話です。
左足首骨折、1ヶ月のギブス固定と言われてからお盆を挟んで半分が過ぎて、ギブス生活も後半戦になってきた。
嫁さんの仕事の休みに診察を合わせこんで病院に連れて行ってもらう。
広めの駐車場もいっぱいのようだった。
松葉杖での長距離移動が困難なので、いったん入り口真ん前の車椅子マークがある駐車場に車を停めて、降り次第、嫁さんが車を通常の駐車場に回す段取りだった。
松葉杖を受け取り、バランスを崩さないように気をつけながら、座席から「せーの」と立ち上がるかぐらいだった。
「そんなとこあんたら停めたらあかんやん」
と声がした。
斜めった地面に松葉杖をついて立ち上がろうとしていて、バランスをとるのに必死だったのではっきりと聞き取れてはなかった。
でも、口調やら雰囲気で、文句を言われていることは瞬時に分かった。
笑顔で
「すいませんね〜ちょっと松葉杖で〜…」
と、とりあえず接客モードでかわすヨメ。
「あー、今ちょっと停めてるだけなんで、すぐ動かすんでー、すいません〜」
と穏便に済まそうとする松葉杖の俺。
こういう場合は、それ以上絡まれたくないと相手の顔を見ずに足早にその場を去りたいのだが、松葉杖移動。。スピードが…。。
相手の視線を感じながら下を向いて転ばないように歩いていると、ずーっとぐだぐだと何か文句を言っている。
ふと、嫁さんの方を見ると
生理前で怒りの沸点が超低くなっていた嫁さんは、もうすでに睨みつけていた。
そんな嫁さんの顔を見て、視線を持っていくと…
サングラスにハットを被ったじいさんが、タバコを吸いながらぐだぐだと文句を言い続けている。
じいさん、病院入り口横にある2階に通じる、従業員が使うような小さい階段の何段目かに腰掛けて、高みの見物である。日陰。まだぐだぐだと何かを言っている。
喫煙所でも無いところで勝手に座り込んで勝手にタバコを吸う人に文句を言われる事は無いだろう…と。
(なんや、じいさん…文句言いたいだけやん)
腹を立てるだけ損と自分をなだめながら、ようやく入り口へ。
ヨメの顔は恐かったw
お盆明けということで、待合には常連さんと思われるお年寄りの方々や、同じ様に松葉杖をついた方、いかにもスポーツしてます!っていうキレイな足をした若い男子等、座る場所も無いぐらいコミコミだった。
嫁さんと2人して真夏のジジイ先制パンチをくらい、お年寄りの全方向から押し寄せる雑談を聞いて延々と2人で待つのも何だかなーと思い、車を移動するために出た嫁さんには、どこかで時間を潰してもらうことにした。
理由は別にもあって、
まだ収まらぬ怒りの矛先が自分を含め多方向に向くと、公衆の面前では大人しくしていたい俺は困ってしまい、怒りをおさめようと「まぁまぁ…」というスタンスになってしまう。
下手すると、「あのじーさんも暑くてイライラして…」などと、じーさんサイドに付いてしまうようなことになりかねない。
それが逆に燃料投下になってさらに炎上、気まずい、もしくはケンカになることがある…という事を身を持って知っているからだ。
嫁さんに限らず、一般的に女子は「共感・共有」が大事らしく、この場合はいっしょになって怒る流れ「ほんまやなー、あのジジイ、腹立ったよな〜!」と共感を示すと、意外とすんなり怒りは収束していくことが多い。
これが自分は苦手で、「腹を立てるだけ損、相手にしない」とその場をやりすごした人が真逆の事を言って話を合わせるのはどうもできない…。
帰りの車の中では一緒になってじーさんの文句を言っていたが。
診察は触診だけで異常なし、とあっさり終わり。
次はレントゲンを撮って状態を見てギブス外すかどうか決める、とのこと。
いよいよかー、と思う気持ちを上回る不安。
全然まだ痛いけど。。てか、これでギブス外れても一歩も歩ける気がしない!!
これも調べたらギブスあるあるなんかなー。
そう思いながら皆ギブス取れてから少しずつ歩いていくのかな…。
リハビリ、という次の試練が待っているらしいが、あまり考えないようにしよう。